お互いが感情的になっているときや知識が不足している等、示談がうまくいかず、訴訟(裁判)を避けるなら裁判所での民事調停による方法があります(ただし争点が多い場合は、調停での解決は困難です)。
調停は、示談と訴訟の中間にあたる手続きで、裁判所の調停委員が、被害者と加害者の間に入って話し合い、双方の主張を調整しながら解決策をまとめる手続きで、裁判官1名と調停委員2名で担当します。基本的に裁判官は、調停が成立した時か不成立になった時しか出席しませんので、当事者が交互に控室から呼ばれて調停室に入り、調停委員2名に主張を聞いてもらいます。
調停委員は、弁護士、医師、大学教授や地域社会に密着して幅広く活動してきた人など、社会の各分野から選ばれています。
調停によって解決案がまとまれば、その内容をもとに調停調書が作成されます。これは、裁判の確定判決と同じ効力があり、お金を支払う義務のある相手方が約束どおり支払わないときは強制執行ができます。何回か調停が開かれても双方が歩み寄らなかったりしたときは、調停不成立となり調停手続きは終了します。
調停は、相手方に出頭義務がありませんので(制裁は50,000円以下の過料(民事調停法第34条))、示談交渉にも応じない人の場合は、調停が行われずに不成立になるといった欠点があります。
調停は、損害賠償請求する相手方の住所を管轄する簡易裁判所または、両者の話し合い(例えば、交通事故発生地)で決めた地方裁判所または簡易裁判所に申し立てます。人身事故に関しては、請求者の住所を管轄する簡易裁判所に申し立てることもできます。
収入印紙代は調停を求める金額に応じて、次のとおりです。この他、若干の郵便切手が必要となります。請求額が決められない場合は、とりあえず6,500円の収入印紙を納めます。
示談あるいは調停でも加害者や任意保険会社との話し合いがまとまらない場合には、最後の手段として訴訟(裁判)を起こすことになります。
裁判所では判決という形より、当事者双方の譲り合いによる円満解決の策として、裁判官が和解を勧告することがあります。和解の場合には、裁判官が原告と被告から交互に言い分を聞いて話しをまとめます。双方が和解に応じると和解調書が作成されます。これも調停調書同様、裁判の確定判決と同じ効力があり、お金を支払う義務のある相手方が約束どおり支払わないときは強制執行ができます。もちろん和解できないときは、訴訟終結後、判決の言い渡しがなされます。
訴訟は、原則として被告の住所を管轄する裁判所に訴状を提出しますが、交通事故などの不法行為による損害賠償請求をする場合、交通事故発生地を管轄する裁判所や、原告の住所を管轄する裁判所にも提出することができます。請求額が140万円以下の場合は簡易裁判所、140万円を超える場合は地方裁判所に訴状を提出します。
収入印紙代は請求する賠償金額に応じて、次のとおりです。この他、若干の郵便切手、証人尋問、鑑定、検証などを行うことになれば、その費用も必要です(弁護士費用は別途かかります)。
訴額60万円以下の金銭請求事件については、少額訴訟事件として提訴することにより、原則として1回の期日で審理を終え、即時判決が言い渡されます。
収入印紙代は請求する賠償金額に応じて、次のとおりです。
当行政書士事務所は、本ホームページによる情報提供のほかは、調停・訴訟に関する書類作成及び相談業務は一切行っておりません。