被相続人の生前に、その財産の維持や増加、あるいは療養看護など特別に貢献した相続人については、遺産分割について、法定相続分によって取得する額を超える遺産を相続できることになっています。例えば、何もしない兄弟に代わって、父親の看病をした長女の苦労が認められる、そんな制度が寄与分です。
寄与者の相続分は、相続財産からその寄与分を差し引いた残りの額に対する寄与者の相続分を算定し、それに寄与分を加算したものが相続分となります。寄与を認めるかどうか、寄与分の額については、相続人間の協議で決めますが、話合いがつかないときは、寄与をした者が家庭裁判所に調停や審判を申立てます。寄与分は相続人に与えられるものであり、内縁の夫や妻、家業を手伝っていた長男の嫁などには認められていませんので、注意してください。
下記の5つの要件にあてはまる人は寄与分が認められます。
特別縁故者とは、被相続人と生計を同じくしていた者、被相続人の療養看護に努めた者その他被相続人と特別の縁故があった者のことをいいます。法定相続人が一人もいない、あるいは受遺者もいないと確定したときに、被相続人の世話をしてきた内縁の妻等(特別縁故者)にも遺産分与が認められる場合があります。
被相続人の療養看護に努めた人の場合、かなり広く特別縁故者であると認められています。親族でない他人でも、一緒に暮した人でなくても、病気や高齢の方に必要な世話をした人に、相続財産の全部または一部が分与されます。
下記の条件にあてはまる人を特別縁故者といいます。
これら、内縁の妻や被相続人の生活にゆかりの深かった人は、被相続人の遺産の一部、あるいは全部を与えると規定されています。
特別縁故者としての条件を満たしていても、法定相続人が現れた場合は、被相続人の遺産を相続できません。ですが、特別寄与料を請求することで、遺産の一部を受け取れるかもしれません。
相続人には該当しない親族が、被相続人への無償の看護や労務の提供などを通じて、財産の維持や増加に貢献した場合、その貢献を認めて、相続人から金銭を受け取ることができる制度が特別寄与料です。例えば、父親が長男の妻から長期にわたり介護を受けていた場合、妻は親族ですが、相続人にはあたりませんので、寄与分を受け取ることはできませんが、特別寄与料を請求することはできます。
特別寄与料は、寄与分のように遺産分割として主張するのではなく、相続人に対して直接支払いを請求するものです。特別寄与料の額について、相続人と話合いがつかないときは、特別寄与をした者が家庭裁判所に調停や審判を「相続の開始および相続人を知った時から6カ月」または「相続開始の時から1年以内」に申立てます。
下記の5つの条件にあてはまる人が特別寄与料を請求できます。