経営事項審査(経審)評点アップ対策

経営事項審査評点アップの近道は

経営事項審査評点をいかに上げて自社の望ましいランクを確保するかは、公共工事を請負う建設企業にとって最重要課題といえます。

総合評定値(P)は、完成工事高(X1)+技術職員数および元請完成工事高(Z)のみで50%(25%+25%)を占めています。経審評点アップの近道は、「完成工事高・元請完成工事高を上げる」+「上級の技術資格者数を増やす」ことです。

ただし、利益率の低い工事を受注すると完成工事高は上がりますが、経営・財務状況が悪化することになり、自己資本額および平均利益額(X2)や経営状況(Y)が下がる場合がありますので、注意が必要です。

(X1)、(Z)に経営状況(Y)を含めますと、70%(25%+25%+20%)を占めることになります。借金を減らし、貸借対照表の総額を圧縮して自己資本比率を高めることで更に経審評点アップが望めます。

総合評定値(P)=0.25X1+0.15X2+0.20Y+0.25Z+0.15W

完成工事高(X1)

X1 = 経営規模等評価の結果に係る数値のうち、完成工事に係るもので、全体の25%を占めています。

前述しましたとおり、利益率の低い工事を受注すると完成工事高は上がりますが、経営・財務状況が悪化することになり、自己資本額および平均利益額(X2)や経営状況(Y)が下がる場合がありますので、注意が必要です。

完成工事高(X1)の評点アップ対策

自己資本額および平均利益額(X2)

X2 = 経営規模等評価の結果に係る数値のうち、自己資本額及び利益額に係るもので、全体の15%を占めています。

自己資本額、営業利益と減価償却実施額が多くなることで、経審評点アップが望めます。

自己資本額および平均利益額(X2)の評点アップ対策

経営状況(Y)

Y = 経営状況分析の結果に係る数値で、全体の20%を占めています。

例えば、建設機械を購入する場合、借入をして購入しますと、固定資産・借入金が増加し、資産・負債全体も当然に増加しますので、負債回転期間や自己資本比率などは悪化してしまいます。また、金融機関への利息の支払いから純支払利息比率も悪化します。つまり、連鎖的に影響するということです。ここに視点を置いて対策を行うと経営状況(Y)の評点アップが望めます。

経営状況(Y)は、「負債抵抗力」「収益性・効率性」「財務健全性」「絶対的力量」の4属性からなり、それぞれ2記号の合計8指標から算出されます。

( )内は、経営状況(Y)のウエイト。つまり、テストの配点と同じです。

純支払利息比率 X1

計算式:(支払利息-受取利息配当金)/売上高×100
売上高に対する純粋な支払利息の割合を見る比率で低いほどよい

負債回転期間 X2

計算式:(流動負債+固定負債)/(売上高÷12)
負債総額が月商の何ヶ月分に相当するかを見る比率で低いほどよい

総資本売上総利益率 X3

計算式:売上総利益/総資本(2期平均)×100
総資本に対する売上総利益の割合、つまり投下した総資本に対する売上総利益の状況を示す比率で高いほどよい

売上高経常利益率 X4

計算式:経常利益/売上高×100
売上高に対する経常利益の割合、つまり企業の経常的経営活動による収益力を示す比率で高いほどよい

自己資本対固定資産比率 X5

計算式:自己資本/固定資産×100
設備投資などの固定資産がどの程度自己資本で調達されているかを見る比率で高いほどよい

自己資本比率 X6

計算式:自己資本/総資本×100
総資本に対して自己資本の占める割合、つまり資本蓄積の度合いを示す比率で高いほどよい

営業キャッシュ・フロー X7

計算式:営業キャッシュ・フロー/1億(2年平均)
企業の営業活動により生じたキャッシュの増減を見る比率で高いほどよい

利益剰余金 X8

計算式:利益剰余金/1億
企業の営業活動により蓄積された利益のストックを見る比率で高いほどよい

経営状況(Y)の評点アップ対策

技術職員数および元請完成工事高(Z)

Z = 経営規模等評価の結果に係る数値のうち、技術職員数及び元請完成工事高に係るもので、全体の25%を占めています。

審査対象業種に対応した上級の資格を持つ技術職員を多く雇用する、元請工事の受注を増やすと評点アップが望めます。

技術職員数および元請完成工事高(Z)の評点アップ対策

その他の審査項目(W)

W = 経営規模等評価の結果に係る数値のうち、X1、X2 及びZ 以外に係るもので、全体の15%を占めています。

その他の審査項目(W)の評点アップ対策