遺言に気づかず遺産を分割しますと、その分割が無効になることがありますので、お葬式が終わり一段落したら遺言書を探します。
遺言書があると思われるのに、自宅などから見つからない場合は、自筆証書遺言が法務局に保管されている可能性があります。
相続人は遺言者の死後、どこの法務局からでも遺言書保管事実証明書の交付を請求すれば遺言書の存在を確認できます。遺言書保管事実証明書で、請求者自身に関係する遺言書が保管されているということが確認できた場合、遺言書情報証明書を取得すると遺言書の内容を確認することができます。
なお、遺言者が法務局で遺言書保管手続きをしている場合、保管証が発行されます。自宅などから保管証が見つかっている場合は、遺言書が保管されていることが確認できていますので、遺言書保管事実証明書は不要です。
遺言者があらかじめ、指定者通知の手続きをしている場合、その通知対象とされた方(3名まで指定可)に対しては、遺言書保管所において、法務局の戸籍担当部局との連携により遺言者の死亡の事実が確認できた時に、相続人の閲覧等を待たずに、遺言書保管所に遺言書が保管されている旨の通知が届きます。
相続人が1人でも交付・閲覧した場合、全ての相続人に遺言書の存在が通知されます。
相続人は必要に応じて下記の請求をします。
遺言書情報証明書は預金の引き出し、不動産名義の書き換えなどに使用できます。
遺言書があると思われるのに、自宅などから見つからない場合は、公正証書遺言が公証役場に保管されている可能性があります。
公証役場は法務局とは異なり、被相続人の死亡時に相続人に対して公正証書遺言の存在を通知する制度はありません。そのため、相続人は自ら公正証書遺言の有無を調査するしかありません。
遺言の有無は、被相続人の除籍謄本などが必要で、公証役場にある「遺言検索システム」で調べます。このシステムは、全国の公証役場のデータにアクセスできますので、最寄りの公証役場から調査が可能です。遺言書がどの公証役場に保管されているか分かれば、その公証役場に対し、遺言の閲覧か遺言の写しを請求できます。
なお、遺言検索や閲覧は、秘密保持のため、相続人等の利害関係人のみが公証役場に対してすることができます。また、遺言者が亡くなる前は、遺言検索は遺言者本人に限られています。