内容証明郵便の利用方法
内容証明郵便にした方が良いとき
内容証明郵便は、一般に、権利義務の得喪変更などに関する取引上重要な内容の意思表示をする場合、後の紛争を防ぐため通知をなしたことの証拠として利用する場合、相手の出方をうかがう必要がある場合などに利用されています。
確定日付ある証書による通知が必要な場合
通知の内容が重要な場合
- 契約解除の通知
- 解除権の行使を前提とした履行催告の通知
- 解除権を行使するや否やの確答を求める通知
- 建物賃貸借契約の更新拒絶の通知
- 消費者契約の申し込みまたは、その承諾の意思表示の取消の通知
- 消費者契約における不当条項の無効の通知
- 賃料増額請求の通知
- 弁済充当の通知
- 債権放棄の通知
- 消滅時効中断のための催告
- 遺贈につき承認するか放棄するかを問う受遺者に対する催告
- 遺留分減殺請求の通知
- 保証人に対する保証確認の通知
- 身元保証人に対する使用人の任地変更等の通知
- 委任事務処理状況報告の通知
- 契約無効確認の通知
- 離婚届不受理の申出
通知の日付が重要な場合
- 抵当権実行の通知
- 株式譲渡承認の請求
- 株主に対する訴訟提起を会社に請求する通知
- 債権譲渡の通知
通知の内容と日付が重要な場合
- クーリングオフの通知
- 売買予約完結の通知
- 相殺の通知
心理的圧力などの効果を利用する場合
- 貸金請求や売掛金請求、その他債権回収の通知
- 婚姻費用分担請求の通知
- 夫の浮気の相手に対する妻からの慰謝料請求の通知
- 各種の損害賠償請求の通知
- 迷惑駐車を止めるよう求める通知
- 支払を拒絶された売掛金、損害金の支払請求の通知
相手の認識や出方をうかがいたいときに利用する場合
- 類似商号不使用の請求
- 各種工業所有権や著作権の侵害に対する警告
- 袋地所有者の囲繞地通行の申入れ
- 建設公害を理由とする近隣者からの工事差止請求及び損害賠償請求の通知
内容証明郵便にしない方が良いとき
何らかの意思表示をするたびに、いつも内容証明郵便を利用した方が良いというわけではありません。下記のようなときは行政書士などの専門家に相談することをおすすめします。
- 相手に誠意が見られるとき
- こちらに弱みがあるとき
- 今後訴訟に発展しそうな深刻かつ重大な問題があるとき
- トラブル解決後も親しく付き合いたいとき
内容証明郵便を受け取ったら・・・
内容証明郵便は手紙なので、返事を出すか出さないかは、受け取った者の自由です。例えば、「本書面到達後7日以内に回答のないときは、本件内容をご承認したものとみなしますので、この点ご了知おきください」と記載された内容証明郵便に対し、返事を出さなかったからといって、差出人のいうような効果が生じるわけではありません。しかし、一定期間に返事を出さないと、そのことによって法律上の効果が生じる場合もありますので注意してください。
内容証明郵便を受け取ったときに、腹を立てて反論文を長々と書くことは、相手に付け入る余地を与えることになりますので、行政書士などの専門家とよく相談をした上で返事を出すことをおすすめします。
次のような通知があったときは、内容証明郵便をもって返事をするのが通例です。
- 抵当権実行の通知を受けた第三取得者の滌除(てきじょ)の回答
- 解除権の行使につき催告をうけた解除権者の回答
- 遺贈義務者等から遺贈を承認するか放棄するかの催告を受けた受遺者の回答
- 地代増額請求に対する賃借人の回答
- 借家契約の解約の申入れに対する賃借人の回答
- 家屋明渡し請求に対する回答
- 損害賠償に対する回答
- 懲戒解雇通知に対し無効を主張する回答