告発状の基礎知識
告発とは
告発とは、犯罪または告訴権者以外の第三者(自然人のみならず、公私の法人、権利能力なき社団もできます)が捜査機関に対して、犯罪事実を申告し、その犯人の処罰を求める意思表示を言います。告訴と異なるのは、申告の主体が異なる点です。告発も告訴同様、原則としてその事件を管轄する警察署または検察庁に出向き、司法警察員または検察官に対して、口頭または書面で行います。
告発が訴訟条件とされる犯罪
明文上訴訟条件とされているもの
- 公職選挙法第253条
- 私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律第96条
- 関税法第140条
解釈上訴訟条件と解されているもの
- 地方税法第107条、110条、139条、142条等
- 議院における証人等の宣誓及び証言等に関する法律第8条等
告発権者とは
- 被害者と犯人以外の者
個人であると法人及び法人格のない財団・社団であることを問いません。
- 公務員
告発期間
公訴時効が完成するまで、いつでも告発できます。公訴時効の完成は次のとおりです。なお、公訴時効は、犯罪行為が終わった時から進行します。
人を死亡させた場合
- 死刑に当たる罪…なし(時効廃止)
- 無期の懲役又は禁錮に当たる罪…30年
- 長期20年以上の懲役又は禁錮に当たる罪…20年
- 長期20年未満の懲役又は禁錮に当たる罪…10年
人を死亡させていない場合
- 死刑に当たる罪…25年
- 無期の懲役又は禁錮に当たる罪…15年
- 長期15年以上の懲役又は禁錮に当たる罪…10年
- 長期15年未満の懲役又は禁錮に当たる罪…7年
- 長期10年未満の懲役又は禁錮に当たる罪…5年
- 長期5年未満の懲役若しくは禁錮又は罰金に当たる罪…3年
- 勾留又は科料に当たる罪…1年
告発の取り消し
何時でも取り消しできます。取り消し後の再告発も可能です。ただし、告発が訴訟条件である場合はできません。
告発状の記載事項
告発状の様式及び記載については、何ら規定はありません。
- 標題(タイトル)を「告発状」と記載します。
- 告発人の氏名・住所等を記載します。
- 被告発人(いわゆる犯人)の氏名・住所等を記載します(犯人が不明の場合は「氏名不詳」と記載します)。
- 犯罪事実を特定する必要がありますので、具体的に何時、何処で、誰が、誰に、どのような行為をし、どういう結果になったか等を記載します。(1W5H)
- 必要に応じて、犯罪事実に付随した事情やそれまでの経緯を記載します。
- 犯人を厳しく処罰してほしい旨を必ず記載します(この記載の有無で「被害届」と区別されます)。
- 法的根拠(罪名及び罰条)、立証方法、添付資料を記載します。
- 簡潔で要領の良い文章を心掛け、無駄な記載はしないようにします。
- 告発人は署名(記名)・押印します。
- ○○警察署長殿等、事件を管轄する捜査機関を記載します。
犯人でない者を告発すると「虚偽告訴罪」になりますので、十分な注意が必要です。
民事上のトラブル解決を促進するために告発を利用することは避けなければなりません。